姉が東京旅行から無事に帰宅したと、連絡があった。
その連絡が来るまでの間、私はずっと旅程を気にかけながら過ごしていた。
たった1泊2日の旅なのに、帰ってくるまでは心配でならなかった。
「無事に福岡空港に到着しました!」
そんなLINEが届いたとき、心の底からホッとした。
その翌日、姉から旅行中に撮った写真が何枚か送られてきた。
その中の1枚。
満面の笑みを浮かべた姉の写真を見た瞬間、涙がどっとあふれ出した。
3人の子育てをしながら、夜勤のある看護師の仕事もこなす姉。
そんな日々の中で、気が休まるときなんてあるのだろうか――。
私はずっと、姉のことを気にかけていた。
子どもたちが成長するにつれて、求められることも変わっていく。
幼少期とは違う悩みや課題が、日々押し寄せてくる。
笑うことすら忘れてしまうのではないかと思うほど、忙しさに追われる毎日だったはずだ。
そんな姉が、あんなにも楽しそうな笑顔を見せていた。
あんなにテンションの高い表情を、私はいつぶりに見ただろう。
今回は、同級生のお母さんとふたり旅だったという。
飛行機もホテルも、自分たちだけで手配した。
東京という、移動手段も多く複雑な街で、長男の大学までの道のりを自力でたどり、宿泊先にも無事にたどり着いた。
なんだろう、この私の気持ちは。
まるで親が子どもを見守っているような、いや、子どもが親を見守っているような――。
私自身も同行できたはずなのに、今後のことを考えてあえてそうしなかった、そんな気持ちも入り混じっている。
とにかく、無事に目的を果たし、福岡空港に到着し、そして帰宅できた。
その安堵感は、言葉にするのが難しいほどだった。
送られてきた写真は、大人になってから初めて見るような、姉の無邪気な笑顔だった。
よかったね。
本当に、よくがんばったね。
そう、心から思った。
長男は無事に大学に入学し、長女は大阪旅行から今日帰ってくる予定だ。
子どもたちも、姉も、それぞれの道をしっかりと歩んでいる。