『10代から知っておきたい あなたを閉じこめる「ずるい言葉」』
著者:森山至貴(もりやまのりたか)
たまにありますが、本書は【左開き】となっております。
著者の森山さんは、博士(学術)(東京大学)の学位をお持ちで、現在は、早稲田大学
文学学術院 准教授 をなさっている方のようです。
タイトルにある「ずるい」という言葉の意味をあらためて。
自分の利益を得たりするために、要領よく振る舞うさま。また、そういう性質であるさま。悪賢い。こすい。「―・いやり方」「―・く立ち回る」
普段の会話で、私は「ずるい」という言葉をあまり使ったことがありません。
だけど人間は、発した本人は記憶になくても、言われた側は、ずっと忘れない言葉もあるとも思うので、もしかすると、自分も言ったことがあるかもなと気を引き締めていかなきゃですね。
本書は「ずるい」という言葉がずるいのではなくて、その言葉が「ずるい」という29シーンが書かれています。
本書の冒頭というか、表表紙裏にこう書かれています。
大人より弱い立場にある子どもが、「ずるい言葉」にだまされないようにするためのヒントを伝える本です。大人にも実感を持って読んでもらえると思います。
目次は以下のとおりです。
第1章 ”上から目線”がカクレた言葉
第2章 ”自分の都合”がカクレた言葉
第3章 ”わかってる”がカンチガイな言葉
第4章 ”決めつけ”がカンチガイな言葉
第5章 ”思いこみ”がカンチガイな言葉
第6章 ”偏見”がカクレた言葉
第7章 ”時代のせい”がカンチガイな言葉
第8章 ”差別意識”がカクレた言葉
「はじめに」からこの目次を見ているだけでもうドキドキしますね。
なぜドキドキしちゃうのか。
先述のとおり、どこか自分に思い当たる節があって、その予想が的中しちゃうんだろうなーという不安からですね。。
本書は、中高生の子どもたちにも読めるように、イラスト付きの会話形式で書かれています。
語句もとてもわかりやすく解説されていました。
むしろ大人こそ、この本で取り上げた「ずるい言葉」を言われる(ときには言ってしまう)ことが多いのではないでしょうか。その意味で、この本の内容は、大人にとっても、あるいは大人にとってこそ実感を持って読んでもらえるものであると思っています。
全29シーンが書かれているのですが、その中から特に印象に残ったことを書こうかなと思ったのですが・・・
先に言っておきます。
本書を読んで、私は、「イラっ」や「モヤモヤ」は晴れませんでした。
それどころか、別の”何か”があって、実は本書を読み進めるのが苦しくもなりました。
その答えが、「あとがき」に書かれていてどれだけ救われただろう。
と今胸を撫でおろしているところです。
この本を読んだことによって、いままでとは別の種類の「イラッ」や「モヤモヤ」を感じた人もいるかもしれません。
この感情は、もしかすると
- 自分が発したことがある
- 言われたことがある
封印していた記憶に触れたから、なのかもしれません。
先述のとおり、もし自分がこれまでに「ずるい言葉」を言ったことがあるとして、言った本人は記憶に残ってなくても、言われた側は、傷ついてるかもしれない。
シーン⑩あれもこれも言えないとなるともうなにも言えなくなる
このシーンはもう、心臓がバクバクしました。
結構な頻度で遭遇しているからです。
本書では、各シーン毎に「ぬけ出すための考え方」が記載されていて、その部分だけでもホッとします。
シーン⑩の「ぬけ出すための考え方」は、失礼にあたる特定の話題を避けるだけで、その人についてなにも言えなくなるなんてことはありません。
「ほかにも適切な話題はありますよね?」と誘導して失礼な話題を避けよう。
会話、コミュニケーション、言葉、おもいがけず、言ってしまったことって誰しもあるかもしれません。
普段の会話で、何気ない一言が、あとあと大きく影響することも多々ありますよね。
例えば、自分が小さいころ「大人(親、親戚、親の友人、友人の親など)」に言われたことで腑に落ちなかった、または傷ついていることがあるかもしれません。
誰かに言われて、忘れられない言葉ってありません?
悔しかったり、悲しかったり・・。
私たち大人はせめて、勇気を与えたり、励ましたり、前向きな言葉をかけていきたいものですね。
子どもに向けても、大人同士でも、友人にも、知人にも、親兄弟、身近にいるあの人にも。
”カクレ悪意”や”カンチガイ善意”を見抜き、一生自分らしく生きていく強さを身につける!
必要以上にに揚げ足を取ることはしなくてもいいと思いますが、「言葉に敏感」な自分としては、ズキンズキンと刺さるシーンの連続でした。
心に残る言葉は、嬉しくなったり、勇気を与えたり、ハッピーになったり、救いになったり、前向きな気持ちになれる一言にしていきたい。
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