左岸/江國香織

2012/03/04

t f B! P L

まるで自分の人生でも見てるかのように、

あっという間に読み終えた。

【左岸】


1999年初版の【冷静と情熱のあいだ】の記憶が正しいならば、

江國香織氏と辻仁成氏の共作で、男女対の視点で描かれる物語は、

当時の私には衝撃の江國作品第一弾として強く印象に残っている。


そんな江國さんが、再び辻さんとのコラボ作品を出版した。

待ちに待った文庫本が出たので、早速読んだ。


*************

福岡で隣同士に住んでいた茉莉と九。

踊ることと兄が大好きな茉莉は17歳で駆け落ちし、

同棲、結婚、出産を経験する。

数々の男と別れても、いつもどこかに、影のような九がいて。。。

江國香織と辻仁成の奏でる二重奏ふたたび。

夢を信じることができるあなたに贈る柔らかな幸せの物語。

*************


「冷静と~」の舞台はイタリアで、行ったことのないその景色を、

私は読みながら想像を膨らませた。

映画化されたとき、その映像に魅了され、

何度見たことか数え切れない。

それが今作はなんと、我が故郷福岡が舞台。

驚くほどリアルな博多弁で、

聞けばその場所が鮮明にわかる地名がどんどん出てくるからたまらない。


主人公茉莉の幼少期からの半生が描かれているが、

子供時代のストーリーは特に印象に残る。

江國さんならではの子供の心情に共感するのもまた特徴だ。


「パパってば、可笑しいっちゃない。もう読んだっちゃけん、よかろうもん。」

「宿題ここでしていい?」

「ラジオ持ってきたけん」

「きょう九ちゃんに会ったったい」


そんな茉莉は、17歳で駆け落ちし、上京する。

17歳でも駆け落ちでもないが、

福岡から上京してきた者としては、

これもまた「東京」に抱いた茉莉のイメージも共感するところが多かった。


しあわせすぎて、足が竦む。

と言っていた茉莉。

変わっとぉ。

と言われていた子供時代だが、

気がつけば茉莉の周りには、たくさんの友達がいた。


もっと遠くへ行くんだ。

生きていてくれれば、それでいいと。


うったうったうーー。

うったうったうーー。

私も一人踊りが出来る子供だったってことは、秘密やけん。


数々の恋愛を経て、大切な人を失っても、

自分の人生を力強く歩いてきた茉莉の半生に、

私自身と重ね合わせながら、とても励まされていた気がする。

読みながら、「右岸」は誰の物語なんだろう、と想像していた。


いよいよ、これから「右岸」に突入する。

女性の視点で描かれていた「左岸」は、やはり傑作だった。

男性の視点で描かれる「右岸」に期待大でもある。


あと少し、この物語の余韻に浸りたいというのが本音でもある。


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