10月第4週、政治もマーケットも落ち着かない週になった。
高市早苗氏が首相に就任し、対外発信のスピード感が目立った一方で、金(XAUUSD)は短期間で大きく振れた。
この記事では事実を押さえ、私なりの短期見立てと来週の注目点をまとめる。
高市政権の立ち上がり ― 「スピード感」を重視して見る
高市政権は立ち上がりのスピードが目を引いた。
与党内での人事や組閣を短期間で取りまとめ、内閣発足後も早期に対外発信・行動に移している。就任直後にASEAN首脳会議へ出席し、共同声明で「法の支配に基づく国際秩序」や自由で開かれたインド太平洋(FOIP)への意欲を示した点は、メッセージ発信の速さを示す事実である(出典:東南アジア諸国連合(ASEAN)との首脳会議に出席)。
就任間もなくトランプ米大統領と電話協議を行い、日米同盟強化で一致したと報じられている。この「人事の迅速化 → 方針の早期伝達 → 対外での迅速なアクション」という流れは短期的に政治メッセージの伝播力を高める。ただし、速さは期待を集める反面、実務の安定化と体制の根固めが今後の評価点になると考える。(出典:高市首相、トランプ米大統領と初の電話協議 「日米同盟さらに強化」)。
国際情勢の整理(マーケットへの接点)
短期的にマーケットへ影響しやすい材料は主に三つである:日米首脳・財務相レベルのやり取り、トランプ大統領の訪日(日程)、そして米国の金融政策(FOMC)。
これらの政治的イベントや声明はドル・米長期金利を通じて金の需給やセンチメントへ波及しやすい。
10月第4週の金(XAUUSD)振り返り
- 10/21:高値 約 4,381ドル を記録。
- 10/21–22:急落し 約 4,004ドル 付近まで下押し。
- 取引時間終値は 約 4,112ドル。週足は長い上ヒゲでの調整を示唆。
この「高値更新→急落→再反発」の流れは、短期筋のストップ巻き込みと米金利・ドル(DXY)の乱高下が複合して発生したと整理している(以下、週足・H4・H1チャート参照)。
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| WEEKLY_CHART (週足) |
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| H4_CHART (4時間足) |
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| H1_CHART (1時間足) |
オーダーブックの所見
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| ORDERBOOK (オーダーブック) |
ブローカーのオープンオーダー/オープンポジション表示を見ると、現在値付近(約4,112ドル)に建玉・注文が集中している様子がうかがえる。これは
(1)その価格帯が短期的に“ピン止め”されやすいこと、
(2)建玉偏重が下抜け時のストップ巻き込みを助長しやすいこと、
の両方を示唆する。短期トレードではオーダーブックの偏りを考慮した立ち回りが重要である。
チャートパターンの見立て(三角持ち合い主体、条件次第でダブルボトム化)
短期シナリオ
前提:直近の大振幅(高値≈4,381 → 安値≈4,004)、取引時間終値 ≈ 4,112ドル、およびオーダーブックの建玉集中を踏まえて判断。
A. ベース(中立)
現在は三角持ち合いの局面。抜け方向が確定するまで「様子見」が合理的。
B. 強気確定条件(ダブルボトム成立)
H4/日足で 4,150(ネック)を上抜けし、出来高/オーダーブックで売り吸収が確認できた場合。目標 ≈ 4,296。
C. 弱気確定条件(下継続)
4050〜4000ゾーンを割り込み、特に 4000割れ は下振れ加速のシグナル。ダブルトップ方向の目標 ≈ 3,919 や三角下投影 ≈3,820 が意味を持つ。
実務的示唆(私見)
- ATRが拡大しているため短期ではストップ幅を広めに。
- ポジションは分割(2〜3回)で平均化する。
- 重要イベント(FOMC、日米首脳会談、トランプ訪日など)前後は余力を残す。
来週の注目
- 10/27(月):日米高官会談(短期的リアクションに注意)。
- 10/28(火):日米首脳周辺の動き(声明の文言に注目)。
- 10/29(水):FOMC(パウエル議長の記者会見含む)。金利見通しが主要要因。
まとめ
チャートは今「どちらにも見える」状態だ。
まず三角持ち合い=様子見を基本に置き、終値ベースのブレイク確定とオーダーブック/出来高での需給確認を重視して動きたい。
ダブルボトムの条件が揃えば段階的に強気を取り、否定されれば防御的に退く――そのような運用が実務的だと考える。



