本:すばらしい新世界/BRAVE NEW WORLD

2020/11/22

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『すばらしい新世界』
著者:オルダス ハクスリー
翻訳:黒原 敏行

著者プロフィール

■著者:オルダス ハクスリー
1894‐1963。イギリスの作家。
祖父、長兄、異母弟が著名な生物学者、父は編集者で作家、母は文人の家系という名家に生まれる。
医者をめざしてイートン校に入るが、角膜炎から失明同然となり退学。
視力回復後はオックスフォード大学で英文学と言語学を専攻し、D・H・ロレンスなどと親交を深める。
文芸誌編集などを経て、詩集で作家デビュー。
膨大な数のエッセイ、旅行記、伝記などもある。
■翻訳:黒原敏行
1957年生まれ。
英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

概要

西暦2540年。
人間の工場生産と条件付け教育、フリーセックスの奨励、快楽薬の配給によって、人類は不満と無縁の安定社会を築いていた。
だが、時代の異端児たちと未開社会から来たジョンは、世界に疑問を抱き始め……驚くべき洞察力で描かれた、ディストピア小説の決定版!
(『BRAVE NEW WORLD』改題)

本書の目次

  • すばらしい新世界
  • 著者による新版への前書き
  • 解説 植松靖夫
  • 年譜
  • 訳者あとがき
※Kindle版で読んだので、これが本当の目次なのだろうかと何度も思いましたが、これしかわかりません。

読んでみての感想

とても興味深く読了しました。
想像や心の準備という意味で、「未来」の世界観が広がると思いました。

例え古書でも、ページをめくった瞬間が”気づき”のスタートラインだと思うので、今、読むことができてよかったと思います。

すばらしい新世界

西暦2540年が舞台となる物語を、1932年(初版)に出していることにまず驚きました。

今2020年なので、えーっと520年後のこと?え?あらためてビックリですね。
そんなに未来のことなの?

と思うかもしれませんが最後まで読んだほうがいいです。

正直言うと、最初は登場人物の名前を覚える(というか理解する)のが大変でした。
冒頭から「ここはどこ?」的な始まりです。

現代の私たち人間が当たり前だと思っているほぼすべての価値観が異なりました。
読み進めているうちに、この人たちは未来人なんだなと思いました。

”家庭”とはどういうものだったか、きみたちは知っているかね

「中央ロンドン孵化・条件づけセンター」
翻訳するとこういう名前になるのでしょうが、なんて生々しいセンター名なんだろう、と。

この表現が正しいのかわからないけど、人間が生まれた時、いや生まれる前から選別されていて、洗脳され、管理され、成長します。

一方で、現代の私たちに近い人間も、ある呼び方で存在している。
ほんの一部の人だけしかお互いの生き方を知らない完全に隔離された社会。

印象に残った第14章から。

確かに現在は厭わしく、現実はおぞましい ―けれども、嫌悪を催すほど切実なものであるからこそ、この現在の現実はすばらしく、意義深く、この上なく大切なのだ。

「僕がわからないの、リンダ?」

リンダの息子であるジョンが、「人間とは」を説く自分の思想と、あまりに異なる思想の世界に気がついた瞬間。

最初は、あまりに飛躍した内容で、ふわふわした気持ちで読んでいましたが、進むにつれて、今の自分の思想はどうなのか?なんてことまで考えさせられました。

「すばらしい世界」とは、なんだろうと。

この物語は、西暦2540年でしたが、「お金」は存在してるの?とか、ヘリコプターなの?とか。

そう遠くない未来、部分的ですが、この物語に近い状況になるのかなというイメージはできる気がしました。

「未来」が気になる、とか、この先どうなっていくんだろう、とか子どもたちが大人になるころはどうなるんだろう、などを考えている人は、あくまで一例として、「今」、何を考えるべきか、何をすべきか、と同時に、未来のイメージはできるかもしれません。

著者による新版への前書き

この章は、著者本人が、執筆時から15年後に書いた文でした。

なので、余計に著者の思考がリアルに語られていて、さらに興味深く読みました。
著者はこう言っています。

当時は600年後の未来の話だと考えたが、今はあと一世紀以内にあのおぞましい現実がわれわれの前に立ち現れることも充分ありそうな気がする。

執筆当時に考えられなかったことや、もっと考慮すべきだったことなどが書かれていましたが、『人間とは』をこれだけリアルに想像し、懸念し、どうあるべきかを問うた作品を創り上げたことこそが素晴らしいと思いました。

著者が一番言いたいことと思われる最後の一文が印象的です。

編集者がイチオシ

さすがに編集者、詳しくオススメ理由を述べられています。

これだけ見ても読んでみたくなるような内容でした。

特にここ「なぜいま『すばらしい新世界』なのか?」はものすごく納得です。

映画化・ドラマ化

スティーヴン・スピルバーグ率いる制作会社プロデュースのドラマシリーズ「Brave New World」が、2020年7月15日より米国にて配信開始、とのことなので、そのうち日本でも観られるようになったら、ぜひ映像で見てみたいですね。
→ Amazon prime video様、お願いします。

参考

↓左:文庫
↓↓右:Kindle版(電子書籍)

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