久しぶりに本のレビューを。
『嫌われる勇気 -自己啓発源流「アドラー」の教え』
著者:岸見一郎・古賀史健
タイトルだけを見ると、
え、嫌われてもいいくらいの気持ちで接しなさい、的なことを言われるのだろうか。
とまあ、勝手な推測をしていました。
読み進めると、違うことがどんどん明確になっていき、
それどころか、ふむふむ、な内容ばかりでした。
この本は、とある青年が哲学者のもとを訪ねるところから始まり、
終始この二人の会話形式で進んでいきます。
だから読みやすく、会話がどんどん入っていくのかもしれません。
数日にわたり、青年は哲学者のもとを訪ね、思考を学びます。
特に印象に残ったのは、以下3つでした。
■第三夜 課題の分離
たとえば目の前に「勉強する」という課題があったとき、
アドラー心理学では「これは誰の課題なのか?」という観点から考えを進めていきます。
続きます。
勉強することは子どもの課題です。
そこに対して親が「勉強しなさい」と命じるのは、他者の課題に対して、いわば土足で踏み込むような行為です。
われわれは「これは誰の課題なのか?」という視点から、自分の課題と他者の課題とを分離していく必要があるのです。
「その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か?」を考え、
誰の課題かを見分けるんだよ、と。
さらに哲人は、他者の課題を切り捨てろ、と続けました。
なるほど。
例えば、身近な生活においても、さまざまなことがこれに置き換えて考えることができるようになり、いやこれ私の課題じゃないな、と思うことが多くなりました。
これは、いいことを教えてもらったと思いました。
楽。
続きが気になる方は、本で。
■第四夜 人は「わたし」を使い分けられない
自分に価値があるとは思えない、という青年に対し、
哲人は言います。
アドラー心理学から見た答えはシンプルです。
まずは他者との間に、ひとつでもいいから横の関係を築いていくこと。
そこからスタートしましょう。
親、上司、後輩、その他の人々、自分でも気づかないうちに、
あらゆる対人関係を「縦」で捉えていませんか、と。
もう青年はパニックです。
会社のなかで社長と新人が対等な関係を結べるわけない、
社会には制度として上下関係がある、
それらを無視することは社会の秩序を無視することになる、
目上の人に生意気な意見をぶつけるなんてできない、
などなど。
哲人は常に冷静に答えていきます。
誰とでも友達付き合いをしなさい、親友のように振る舞いなさい、といっているのではありません。
そうではなく、
意識の上で対等であること、そして主張すべきは堂々と主張することが大切なのです。
それは私自身への答えにもなった気がしました。
本当にスンと落ちました。納得しました。
続きが気になる方は、本で。
■第五夜 若者は大人よりも前を向いている
前段に「仕事の本質は、他者への貢献」という教えがありました。
哲人は言いました。
夕食の片づけをなぜ私だけがやらなければならないのか。
たとえ家族から「ありがとう」の言葉が聞けなかったとしても、
食器を片付けながら「わたしは家族の役に立っている」と考えてほしい。
他者がわたしになにをしてくれるかではなく、
わたしが他者になにをできるかを考え、実践していきたいのです。
「貢献」していることを感じられれば、
目の前の現実はまったく違った色彩を帯びてくるでしょう。と。
もうね、ズシーンときましたね。
私の場合は、お仕事に置き換えました。
「わたしは会社の役に立っている」と「貢献している」と思うといいんだなって。
それが自信につながり、その先へ踏み出す「勇気」にもつながるんだなって。
本作では、「勇気」「他者貢献」という言葉がたくさん登場してきました。
・誰がどう、ではなく、自分が何かに貢献する。
・自分の課題か、他人の課題か、誰の課題なのか。
・縦ではなく横の関係を築いていきましょう。
この本は、きっとまた再読するときがくる気がします。
良本。
読むきっかけを作ってくれた、↓あっちゃんにも大感謝。